感染症に関してはたくさん良い本がありますが、まず基本を押さえることが大事です。
この本はとても通読しやすく、繰り返し重要事項が出てくるため、基本をしっかり学べます。
感染症の考え方の礎となる本です。
・感染症に対する基本姿勢が身につく
・よく出会う感染症に対するアプローチを実践例を通して学べる
まず前半の総論では、キホン9を通じて、研修医と指導医の対話を交えながら感染診療の基本を学んでいきます。
感染症にはロジックがあります。(感染症診療マニュアルの青木先生が強調されています。)
・感染症診療の5つのロジック
患者背景を理解
どの臓器の感染?
原因となる微生物は?
どの抗菌薬を選択?
適切な経過観察
この5つのロジックについて、なぜそれが必要なのかを具体的な例、対話を交えながら説明されています。
例えばキホン2では患者背景についてなぜ理解する必要があるのかです。25歳男性の発熱、悪寒戦慄、関節痛の2症例から始まります。こう聞けばインフルエンザなどを疑う方が多いと思いますが、片方は確かにインフルエンザでしたがもう片方はマラリアでした。いきなりマラリアは想定しませんよね? では、どう診断に迫るのか、そこには患者背景を知ることが非常に大事になっていきます。患者背景を知ることでどう微生物に迫れるかを学べます。
このようにキホンを9つを使って、5つのロジックを、1つ約8ページ程度でコンパクトに、読みやすく必要十分に学ぶことが出来ます。
感染臓器を絞ることは診断推論でも必要であり、適切に絞ることで重症度を判定でき、状態変化を理解できるようになること、実際の培養や塗抹検査について(適切に採取し適切に処理しないと培養陰性で誤った判断をしてしまうこと)、Empiric therapy とdefinitive therapyの選び方、そして感受性試験の読み方など基本としてしっかり学びたいことが満載です。
とくにキホン8の適切な経過観察とキホン9の良くならないときに考えることはおすすめです。CRPが良くならないからとりあえずカルバペネムにしといて、という光景はいまだに見られるのではないでしょうか。
CRPは確かに診療の助けとなりますが、CRPを勝手に解釈してはだめなのです。他の所見が改善しているのにCRPで治療を変更したり、陰性化するまで治療したりすることは科学的ではないです。
適切な経過観察には何が一番なのか、そしてそのためには典型的な経過を知っている必要があることをが具体的に記載されています。腎盂腎炎では72時間は発熱が続くことなど知らずに熱に振り回されて抗菌薬を変更してしまうこともよく見かけます。適切に経過観察をすること、そして良くならなかったとしっかり判断し、その際にはどういうことを考えアプローチするか、それを学べます。とりあえずカルバペネムから脱却しましょう!
後半の各論では、よく見る症候から診断、治療に至るまでを上記ロジックに沿って学んでいきます。対話形式の部分が多く、実践的と言えます。総論で学んだことを各論で繰り返すことでしっかりとキホンをマスターしましょう。
この本はなんと全部で196ページ、その中で総論は80ページ程度であり、しかも読みやすいため1日で通読できると思います。この本では1日でしっかり基本を学び、明日から感染症診療が変わること間違いなしです。
感染症は外科内科問わずどの科でも必要であり、キホンを学んでおけば必ず役に立ちます。基本を知らないといきあたりばったりの治療になってしまいますよ・・・
今回は感染症の基本となる本を紹介しました。
この本で基本を学び、実際の微生物に対する抗菌薬などはSanford GuideやJohn Hopkins ABX guideなどを参考にしながら実践していきましょう。



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