医学は日々アップデートされ、以前正しいとされていた知識が変わっていきます。
医学書は全体像を把握する点において優れていますが、
最新の情報に触れ、深く学ぶためにはもちろん論文を読むことは必須です。
読まなきゃとわかっていても億劫だし、探すのも、英語を読むのも大変ですよね。
今回、私なりに毎日論文を手軽に論文をチェックし、必要なものだけを簡単に選んで読めるようになるアプリ、サイトを紹介したいと思います。
【2024年更新点】
・有料のものも追加しました。(有料でも価格に見合ったもの)
・Readable、Paperpileを追加
・登録などのやり方をより詳細に記載しました。
基本的な流れ


これを使えば、論文読むことが楽になること間違いなし!
論文検索
まずは論文の検索の仕方ですが、一番のおすすめは勝手に自分の好みの論文が配信される、つまり自分で調べに行く手間をなくすことです。
論文をまずは身近にしましょう。
気になる分野の最新論文が届く~Researcher~

自分が購読した雑誌の最新論文がタイムライン形式で配信される
キーワード登録し、関連した論文のみ確認もできる
以前も紹介しました、Researcherです。ウェブ版、アプリともにあります。
繰り返しますが手軽に論文にアクセスできるようにする、論文に触れる機会を増やすことが大事です。
もちろん探しに行くのも大事なのですが、忙しくなるとできなくなったりします。
自動的に自分の興味のある論文がまとめられていたら、スキマ時間で読む気にもなれます。
それを叶えてくれるアプリが Researcherです。
このアプリでは、自分が登録した雑誌の最新記事、または登録したキーワードに関する論文がタイムラインのように表示されます。
タイムラインに表示された論文はタイトルとbstractがすぐに読めるので、大体の内容が把握できます。
そこで気になった記事はお気に入りに登録ができ、あとからお気に入りのみ後から参照できますし、
より詳しく読みたい場合は、Publisher URLやFull textから飛ぶことができます。
(アプリ版ではinstitutional accessをonにしておけば、大学や施設のアクセス権限を使えるようになれます。)
後述のZoteroと連携しておけば、Researcherでお気に入りにいれたものは、Zoteroに自動的に登録されます。
(TagにResearcher Appと入りますのでsortも簡単です。)
方法は、アプリ右下の人マークをタップ後右上の歯車マークをタップして設定へ。

そしてReference managerからzoteroをタップして、指示に従ってzoteroアカウントとリンクさせれば完了です。

一例として私の登録している雑誌を紹介します。
基本的な目安として、登録雑誌はImpact factor 10点以上と考えています。
- 臨床
内科全般:NEJM、Lancet、JAMA 、Annals of internal medicine、BMJ(British Medical Journal)
リウマチ・膠原病:ARD(Annals of the Rheumatic Diseases)、A&R(Arthritis and Rheumatology)
アレルギー:
感染症:Clinical Infectious Diseases - 基礎
三大誌:Nature、Cell、Science
免疫:Nature medicine、Nature Reviews Immunology、Immunity、Science immunology、Trends in Immunology
自分専門に合わせて登録してみてください。(検索するか、先輩に聞くのがおすすめです。)

スキマ時間に論文を読むようになること間違いなし!
以前の記事はこちらから
Pubmed~キーワードを設定して新規論文の通知をオンに~

やっぱりPubmedが信用できるという人向け
キーワード登録し、関連した論文がメールで届く
配信頻度も選べる
PubmedやGoogle scholarなどで論文を検索することは皆さんされているので詳細は書きません。
便利な使い方として興味のある単語、キーワードを登録しておくとそれに関わる論文がメールで届くようにできます。

まずPubmedの右上からログインします。(アカウントない場合は作成してください)
そしてtop pageから気になるword (ex.SLE)を検索します。

検索窓の下のCreate alertをクリックすると下のように展開します。

これを設定することでメールが届くようになります。
注意:検索wordは絞らないと多数届いてしまうので、複数のキーワードの設定をおすすめします。

一般的な臨床ではキーワードの設定が難しいかも・・
研究テーマが決まっている人、症例報告準備中の人におすすめ!
論文管理
続いては論文管理です。
気になった論文をまとめておき、後で読みやすいように管理しましょう。
Researcherでお気に入り登録すれば勝手に保存されるZoteroがやはり一番簡単です。
Researcherとの連携が便利な無料アプリ~Zotero~
Researcherでお気に入りにいれた論文が自動的に登録される
PDFも一緒に管理しオフラインでも読める
次は論文管理をするアプリ、まずはZoteroです。基本的に無料で使えます。
上に書きましたが、主な理由はResearcherとの連携で、お気に入り論文が自動的にストックされるからです。
ここからはPC上がおすすめです。上記リンクからダウンロード、インストールしましょう。
そしてウェブ拡張機能も同時にインストールしましょう。
ツール→ブラウザコネクタをインストールする、で使用されているブラウザの拡張機能がインストールできるはずです。

まず、Researcherでお気に入りすると、その論文の題名や抄録、雑誌名、DOIなどに加え追加日時もZoteroに登録されます。
パソコンアプリ上からそのタイトルをクリックすると、その論文のウェブページに飛ぶと思います。
そして、右上のアイコンをクリックすれば、利用可能なPDFがあれば自動で添付してZoteroに追加されます。

このときとresearcher登録時で複数同じタイトルができてしまいますが、左の重複アイテムから統合することが可能ですので、少し手間はかかりますが、時間のあるときにやっておくと、オフラインでも読むことができます。
抄読会なので出典明記する際も、右クリックから「選択されたアイテムから参考文献目録を作成」を選べば、Referenceがすぐに作成されます。
(本来の論文作成の際のReference list作成としても便利)
オンラインで拡張機能が使いやすい~Paperpile~
オンライン上で完結、ワンクリックで論文登録と操作が簡便
Google driveに論文が保存される
次にPaperpileです。Researcherを主軸に置く場合は連携が有能なZoteroが現在はおすすめです。
しかし、有料(月額$2.99)ですが自分で論文を検索する方におすすめです。
まずChromeで拡張機能を入れておけばPubmed Google scholarなどで検索した論文を保存しようと思ったときに、拡張機能のPaperpileをワンクリックするだけで論文が保存されます。
Paperpile自体のページは基本的にオンラインですが、ソートやお気に入り、順番の並べ替えなど視覚的に簡便に行うことができます。
詳細はたくさんブログ書かれている方いますので検索をおすすめします。

実際に論文を書くときの参考文献管理に一番オススメです!
実際に論文を読む
続いて保存した論文を読む読み方です。
以前は自分で調べるほうが翻訳より早かったと思いますが、自動翻訳でもだいぶこなれた日本語になるようになりました。
やはり日本語にはスピードでは勝てないですが、変な日本語のチェックも必要、
だからこそ日英併記されるReadableが一番オススメです。
PDFがそのままのレイアウトで日本語訳される~Readable~
英語論文のPDFがそのままのレイアウトで日本語訳に変化する
日本語と英語併記のPDFにすれば見開きで日本語と英語同時に確認できる

DeepLなどPDFをそのまま訳せるものは他にもありますが、
このReadableはPDFのレイアウトそのままに日本語に翻訳されます。

ここにPDFをアップロードすると10秒程度で翻訳され、次のように表示されます。

この日英交互に表示されたPDFが特に便利です。
この論文を使用してみるとこんな感じになります。(著作権おあるので全体ぼかしています。)

この様に左に日本語訳、右に英語原文を並べて表示されます。
レイアウトも全く崩れていないこともわかるのではないでしょうか。

Zotero使われている方は、論文を右クリック→上のメニューのファイルを表示、にすれば保存されたPDFがすぐ参照できるので、それをそのままドラッグ&ドロップすればすぐPDF作成できます。
日本語訳もだいぶこなれていて読みやすいと思うのですが、
やはり訳が変なところがどうしても出てきてしまいます。
そこを元の英文ですぐに確認できる点が非常に優れています。

日本語で読むと全体を把握するスピードは段違い!!
英語力落ちそうだけど・・・
月980円、年間払い9800円と有料ではあるのですが、ソースネクストでコードを買うとよりお得に買えるので特におすすめです!
簡単に英単語の意味がわかる~EtoJ Vocabulary~
カーソルを合わせるだけで文章の単語の意味がわかる
この方法は昔ながらの方法ではありますが、英語に慣れるという意味では有利かもしれません。
Readableや後述するDeepLやGoogle翻訳でそのまま全訳して読むのも良いのですが、それだとなかなか英語そのまま読むことになれず、そのスピードが減ってしまうかもしれません。
やはり英語のまま読みたい、と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、科学論文はわからない英単語が多くていちいち調べていると時間がかかってしまうと思っている方はいませんか?そんなときに便利なサイトがEtoJ Vocabularyです。
このサイトでは、入力した英文の単語の意味をカーソルをあわせるだけで確認できます。
そのため、読みながらわからない単語の意味をすぐ確認できるので、ストレスがありません。
試しにサンプルドキュメントを送信すると以下のようになります。

このハイライトされた部分の単語の意味がカーソルを合わせれば表示されます。

辞書もライフサイエンス辞書をデフォルトで使用されており、正確性も高いと思います。
まずはこれを使って読んでいけば、自然と自分のよく読む分野の英語は覚えていくと思いますし、そうすればもっと論文が読みやすくなるはずです。

英語のまま読むならこれ!
英文をそのまま簡単に翻訳~DeepL~

PDFをそのまま日本語に翻訳できる
※2021年頃以前推奨していましたがReadableのほうが便利かなあと。
無料なのはこちらですかね
とはいえやはり日本語で簡単に読みたい、そういう方も多いと思います。
その場合に使用する翻訳サイト、アプリでおすすめなのはDeepLになります。
PDFをそのまま翻訳できます。
ソフトをダウンロードして使用したり、web拡張機能をインストールすることもできますが、ここまででPDFが利用できるはずですので、PDFでの利用を説明します。
(PDFで利用できない場合は適宜コピペしてください。)
まず、ZoteroでPDFがあれば名前をつけて保存からPDFをダウンロードします。

そしてDeepLのサイトからPDFをアップロードします。

そうすれば、翻訳されたPDFがダウンロードできます。
ダウンロードしたファイルではfigureはそのままで英語がすべて日本語になっており便利です。
番外編:LLMはどう使うか?
LLM使うのは非常に便利ですが使い方には注意が必要です。
ChatGPTであればプロンプトによって結果の精度が変わってきますし、
テーマの検索をPluginなどを使用して行うこともできますが、絶妙に嘘をつかれることもあり、
汎用性は低いので、上記の流れで読むことをおすすめします。
個人的おすすめはPerplexity AIとScispaceですが、詳細は別の機会に。
検索するときに便利なのはSCISPACEです。
Chrome拡張機能でScispaceを入れておけば、
論文のページでScispaceを下のようにすぐに起動でき、
その論文のAbstractやまとめをChatで尋ねることで全体の内容を教えてもらえます。
(日本語で聞けば日本語で返ってきます。)

ZoteroやPaperpileに保存する前に全体の内容を確認するという使い方は有効です。
まとめ
簡単に論文を読む方法をご紹介しました。

私のおすすめのやり方です。
以上の方法で早く手軽に読めるはずです。
論文を読んで、ぜひ色んな人と共有してください。
(outoputすることでより理解が深まるはずです。)
ZoteroのPDFはある程度容量は必要になります。
多くなってきた方は
編集→設定→詳細→ファイルとフォルダ に進み、
リンク付き添付ファイルの基本ディレクトリをオンラインストレージに変更しておきましょう。
GoogleDrive(GoogleOne)やDropboxがおすすめです。
DropboxはDropbox plus3年が安くておすすめです。GoogleOneと同等の価格になります。

Pubmedの検索などについては以下の本をおすすめします。
文献検索の方法がわかりやすく説明されていますので、知りたいテーマを検索して論文を探したい、そういった方におすすめします。
リウマチ膠原病は幅広くてなかなか論文だけでは難しい面もあるので、ぜひ医学書も読んでみてください。その際は次の記事を参考にしていただけたら嬉しいです。
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