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病棟必携・マニュアル本3選

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内科
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病棟必携な本とは?

 入院患者は原疾患を含めて様々なProblemをもっています。また、入院中に様々なProblemが生じます。そのProblemについてどう対処するか、それが全部頭に入っていれば良いですが、それはなかなか難しいですよね

 そういった時にすぐに大雑把な内容を調べる事のできる本が必携の本と考えます。

 つまり、カンニングするための本ですね。

 その時参照するものとして、自分のまとめをみるのはもちろん良いと思いますが、全部まとめるのも大変かと思います。そのまとめの参考として、もしくはすぐ参照できるものとして持っておきたい本を紹介します。

 初期研修医の方がこなさなければならない問題はこれを調べればなんとかたどり着けるのではないでしょうか。

 今回は優劣というわけではないため、まず基本となる3冊をあげます。どれも良い点がありますので、実際手にとって好みに合わせて選んでいただけたらと思います。

総合内科病棟マニュアル

 まずはこのブログでも紹介した総合内科病棟マニュアルです。実は研修医の頃は存在を知っていたけど手元にはありませんでした。

 この本の良さは後述のワシントンマニュアルより記載がコンパクトで、内科ポケットレファレンスよりも詳しいのではないでしょうか。そして何より優れているのは時系列で並んでいる点だと思います。やるべきことが順序立てて書いてあるため、そのまま利用して動きやすいと思います。

 また、国産マニュアルであるためそのまま利用できます。その他のマニュアルは海外の疫学や、薬剤量となっています。

 病棟に主眼が置いてあることもあり、入院してから退院するまでのことを想定して記載がありますので、マネージメントもしやすいです。

 病棟でよくみるせん妄や、食べられないなどの記載があるPart 7 GIMもおすすめです。

 詳細は下記ブログ参照して下さい。

 今回は、3冊の比較のため低Na血症についてどう記載されているか参考までに記載してみます。

 まずは病歴で症状から中等度と重症を判断します。体液量を聞く問診や薬剤なども記載があります。その後身体所見、次に入院時検査があり、その中に原因検索に必要な検査として血漿浸透圧、尿浸透圧、尿中Naなどが挙げられています。続いて初期マネジメントとして症状がある、もしくは重症ならばその時点での治療を行い、軽症ならそのまま入院となります。入院後は初期で上げすぎた場合でのODS予防のための逆補正から始まります。続いて検査所見を元にしたアルゴリズムがあり、それぞれの病態に合わせた治療が記載あります。そして改善した後の退院前アクションプランまでで完結されています。ページ数は7ページ弱です。

 やはり特徴として時系列になっているので、そのタイミングに応じた動きがしやすいという特徴があります。入院前なのか、入院後なのかなど、その時にしなければならないことがわかります。また、処方例はそのまま利用できますし、初学者に特におすすめできると思います。記載は非常にコンパクトですので、すぐ読んですぐ実行できるのではないでしょうか。

 病棟で活躍できる本だと思います。2017年発行なのでまだまだ現役ですね。

(2022/1 追記)

2021年に第2版が出版、青本、赤本となりパワーアップしました。

病棟の基礎となる赤本、疾患別の青本で、青本の良さは見ていただければひと目で分かりますが、特に初期研修医、専攻医におすすめするのは赤本(総合内科病棟マニュアル 病棟業務の基礎)です。

患者を初めて担当するときに、はじめは何をしたらよいかわからないと思った方も多いのではないでしょうか。

この本では「入院時」「入院中」「退院前」という時間軸を意識しながら、指示簿や入院時サマリー、カルテ記載、から退院前にすべきこと、タイムマネジメントや病棟での働き方、医療アプリやウェブサイトまで幅広く記載されており、病棟で必要なことが網羅されています。

おそらく類書はないと思います。

初期に体系的に学んでおけばよかったと思うことがたくさん書かれており、まず手に取ることをお勧めします。

青本は以下の本との比較となると思いますが、赤本はどなたでも持っていて損はないと思います。

ワシントンマニュアル

 この本は少し厚いため常に携帯するというものではないかもしれません。

 しかし、一般原則、診断、治療が一通り記載されています。

 一般原則ではその疾患についてざっとしたまとめが書いてあり、疾患によっては疫学や病態生理も記載されています。

 診断では臨床所見、鑑別診断、診断的検査(臨床検査と画像検査)についてそれぞれコンパクトながら詳しく記載があり、治療では薬物療法が詳細に記載されています。薬物それぞれのエビデンスや具体的な量が記載されており、素早く必要な情報を得られる印象です。

 ハリソンまでは詳しくはないのですが、経験した症例、症状などを見たときにはその分野を一読しておくと良いのではないかと思います。机に1冊置いておくと便利ですね。

 これくらいは知っておけばまあなんとかなるか、といった印象です。まあ、ハリソンをひらいて読めたらそれがベストかも知れませんが、もっと手軽に読めるという面でもおすすめできます。

 治療はちょっと古くなってきているので、最新の治療は他でcheckが必要となる点がマイナスですかね。

 この本からも低ナトリウム血症から参照します。

 一般原則では低ナトリウム血症の定義から始まります。そして病因を水分の排泄障害と、体内総ナトリウム量の変わらない体液量の膨張に分けています。そしてナトリウムを含む組織の膨化の起こる状態として、偽性低ナトリウム血症、高浸透圧性低ナトリウム血症を並べ、その他飲水量が多い状態、そして腎臓からの水分排泄の減少についてADHと水分量とあわせて病態が記載されています。「適切な」バソプレシン分泌をしている状態として、細胞外液が減少した状態と増加した状態で分けて病態を説明、そして「不適切な」バソプレシン分泌として、SIADH、reset Osmstat、薬剤が挙げられています。

 次に診断ですが、臨床症状に関して急性と慢性での症状の違いについて記載があり、細胞外液量と有効循環血漿量の評価を含む正確な病歴聴取と診察の有用性が述べられています。続いて診断的検査として血漿浸透圧、尿浸透圧、尿中ナトリウム濃度をあげ、それぞれの評価について、またフローチャートでまとめられています。

 治療は補正速度、適切な治療介入、他の基礎疾患の有無をまず決め、是正が早すぎた場合、慢性で無症状の場合、重篤な症状がある場合、無症状の場合などのそれぞれでの治療が記載されています。それぞれの治療も補正速度や補正方法などが具体的に記載されています。無症状な場合は細胞外液量で分けた治療の記載があり、SIADHでは水分制限の具体的な方法が記載されており、その後薬物について記載されています。

 ページ数としては約7ページになります。

 それぞれの方法が具体的に記載されている印象です。文章はコンパクトと言うよりも教科書的、やや助長かもしれません。自分でまとめてみてもまとまりにくかったので、それだけ情報が多いともいえますし、まとまっていない感じもあると思います。

 海外で長年updateされてきた治療マニュアルですから、信頼は高いでしょう。

 これ以上となるとハリソン内科学を参照するしかないかと思います。

2022/3 追記 最新版にしています。

内科ポケットレファレンス

 紹介する中では一番コンパクトで軽い本です。海外で広くPocket Medicineとして長年ベストセラーとなっている本の日本語版です。

 とにかくコンパクトに、箇条書きで記載されています。迅速に得られる情報の多さは他にはありませんね。

 定義、疫学、臨床症状、診断検査、治療、合併症など一通り網羅されていますが、なぜそれをするかなどの説明も省略されている面もあり、初学者では追加して調べに行かなければならないこともあるかもしれません。

 本書からも低Na血症を記載してみます。

 まずは病態生理から始まり、ADHで分類して記載されています。検査は病歴(急性 vs 慢性、重症度、神経合併症のリスク)から始まり、血漿浸透圧を測定、その後循環血漿量で分類してアプローチがフローチャート化されています。その後循環血漿量減少性、等容量性、増加性に分けてそれぞれの原因、鑑別疾患が羅列されており(検査所見と合わせて)、最後に治療、一般論とそれぞれの疾患に対する治療が学べます。ほぼ見開き1ページにまとまっています。

 記載としては十分量ですが、やはりなぜその検査をするのか、どう評価をするのかまではわからない面もあるため、初学者の場合はこれをみて後で何かで補完する必要はあると感じます。

(2022/7 追記)

改定され分厚くなってしまいました、ある意味この本の良さが減った気がします・・・

まとめ

 以上3冊を紹介しました。どれが優れているというわけではないと思います、どれも素晴らしい本なので、ぜひ手にとって見て、そして使ってみてください。

(2022/1 追記)

赤本(病棟内科総合マニュアル 病棟業務)の基礎はほぼすべての人におすすめします。

比較となるのは青本とワシントンマニュアル、内科ポケットレファランスです。

 自分だったら研修医の頃は総合内科病棟マニュアルを持ち歩くかと思います。それ以降はそのまま使い続けるか、重さに嫌気がさして内科ポケットレファランス+α(up to date, dynamed etc)にするかもしれません。まあワシントンマニュアルはなんだかんだ机には置いてあると思いますが。

机においておいて適宜参照する。

 →(赤本)総合内科病棟マニュアル 病棟業務の基礎

国産で日本の実情に則している、そのままオーダーも参考にしたい

・とりあえず疾患に関して良いマニュアルがほしい

→(青本)総合内科病棟マニュアル 疾患ごとの管理

・長年使われている標準化されたものがいい場合

・一通り網羅したい

→ワシントンマニュアル

・とにかく軽くコンパクトがいい

・ある程度の病棟対応は慣れてきた

→内科ポケットレファランス

コメント

  1. […] 病棟必携・マニュアル本3選病棟必携な本とは? 入院患者は原疾患を含め… […]

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