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Dr.竜馬の病態で考える人工呼吸管理

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ICU
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 またまたお久しぶりです、重症患者を複数受け持つとなかなか大変です。

 今回人工呼吸管理をするにあたり、再読した本です

 今日はなんとなく人工呼吸って苦手・・・と思っている人の苦手意識を吹き飛ばす本だと思います。

・病態から自分で考えて人工呼吸器を設定できるようになる

・呼吸生理を理解することで患者に合わせた人工呼吸ができるようになる

 田中竜馬先生の本はどれも読みやすく、ためになる本ばかりです。その中でも特におすすめ、人工呼吸を少しでも行う可能性のある方皆さんに読んでほしい本です。

 この本はタイトルの通り病態から理解し、考えることで人工呼吸を使いこなすことができるようになるための本です。読みやすく、通読しやすい本となっています。

 この本を読めばルーチンでの設定から、自分で考えて病態に合わせた設定に変えられるようになると思います。

 人工呼吸器つないだは良いけど、そもそも設定が多すぎてどれから設定したら良いのかわからない、この患者さんに良い設定がどれなのかわからない、とりあえずいつもの設定にしたけどこれで良いのか・・・みたいな方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 この本の一番のポイントは、とっつきにくい生理学を具体的かつ簡単なモデルなどを用いて学ぶことで、呼吸に関する生理学を理解し、そこから患者の病態と生理学をつなげて、そして患者にあった人工呼吸ができるようになる点です。

 表紙にもある人工呼吸10箇条にもエッセンスが詰まっています。

人工呼吸10箇条

「呼吸=肺」とは考えない

SpO2だけで重症かどうか判断しない

気管挿管と人工呼吸は分けて考える

人工呼吸ではモードよりも設定にこだわる

人工呼吸器は肺はよくしないが、悪くはできることを知る

人工呼吸管理中には、正常な血液ガスを目標にしない

人工呼吸器に患者を合わせるのではなく、患者の呼吸に人工呼吸を合わせる

呼気に注意する

人工呼吸器は診断にも使う

患者の回復をあなどらない

 そして最初は呼吸不全について、まずは呼吸系システム、コントロール系、ガス系、駆動系に分けて分類し、それぞれの病態を理解します。そこから気管挿管、人工呼吸の適応を学び、その後人工呼吸器の設定へとすすんでいきます。人工呼吸器設定をいくら勉強しても、病態生理がわかっていなければ、患者にとってベストの選択ができるわけではありません。この本にも書いてあるとおり、人工呼吸器に患者をあわせるのではなく、患者に人工呼吸を合わせる必要があり、そのためには患者の病態生理、どこを改善する必要があるかをしっかり理解、発見できることが重要です。この本の最初の50ページでしっかり学べます。

 その後の人工呼吸の具体的なモードと設定では、基本的なVCV、PCVからSIMVやAPRVなどなどしっかり学んでいきます。他の本でも勉強できるのですが、この本では具体例が頻回に記載されていたり、実際そう設定するとどうなるのか、なぜその設定が必要となるのかが理解できます。

 続いて具体的な設定ですが、VCVを基本とし、それぞれの設定と説明に入る前に換気に関する設定、酸素化に関する設定、それ以外という風に分けることで 、自分が酸素化をよくしたい、CO2を飛ばしたいなどといったときどの設定を変えればよいのかを理解し、その後実際の設定を学ぶというように進んでいきます。これで、自分で考えて設定にたどり着くようになれるはずです。

 病態にはこの設定とルーチンにするのではなく、それぞれ個々のの患者さんにとってベストな換気設定を自分で設定できるようになるはずです。

 その後も様々な設定や人工呼吸モニター、トラブルシューティング、抜管、NPPV、Case studyと進んでいきますが、どの章もほんとにためになるのですが、全部書くとほんとに長くなってしまうので割愛します、ぜひ手にとって見てください。

 人工呼吸モニターを学べば実際の個々の患者に合わせて設定の微調整が可能になり、トラブルシューティングではトラブルと遭遇したときの心がまえができます。私も今回トラブルに見舞われましたが、この本に書いてあるようにまずバッグ換気をすることで気管チューブの異常に気づき、チューブ入れ替えを行うことで無事に乗り切ることができました。

 また、所々にコラム(side note)があります。

 高酸素で無気肺が起こるメカニズムやSpO2を100%にしては行けない理由などは、普段疑問に思うこと、また質問されてもなかなか答えられないことであったり、また看護師含めたコメディカルに理解してもらうためにも私はとても役に立ちました。

 なんとなく100%だから良いと思っている人はいませんか?もしかしたら患者さんは悪くなっているかも・・・

 どこを読んでも素晴らしい本だと思います。難しいところも噛み砕いた説明がされておりますのでとても読みやすく、350Pありますが通読しやすいと思います。

 全ては患者の治療をするために人工呼吸をうまく使い、患者に合わせた人工呼吸ができるようになるためには最善の本だと思います。

 人工呼吸を行うすべての医師だけでなく、コメディカルにも読んでいただきたい本です。

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