國松先生怒涛の新作ラッシュの中からまず1つ紹介します。
はじめに
・症候、病名、検査異常、薬剤性での候補がリストとなっている。
・自分色に染め、そしてみんなで今後作り上げていく本である。
この本は通読する本ではないですが、手元にあれば手に取る回数は多い本だと思います。
この本には症候、病名、検査異常、薬剤性の章に分かれてその原因や候補がリストとして挙げれられています。
文章はなく、空白が沢山あることで書き込むことが想定されています。あくまでKunimatsu’s Listであり、これを参考にして自分のリストを作りあげていく、ということが大事なんだという意志が伝わってきます。
それに加えて、画期的な試みとして、國松先生に考えてもらいたい新規項目や新しい鑑別をあげたり、ここは間違っているのではないか、といった意見をサイトから投稿できるというシステムが導入されています。みんなでリストを作り上げていくということですね。
分野によって多くの専門家がいるので、その方々が投稿していくことで、すごく充実したListにもなりそうですし、煩雑にもなりそうですし、どうなっていくのかが気になりますし、とても楽しみでもあります。國松先生ならうまくオトしていただけるのではないかと思っていますが。
以降はそれぞれの章について簡単に記載します。
第1章 症候
第1章では症候が並べられており、その症候の鑑別疾患、例えば急性の「発熱+関節痛」の時に偽痛風や化膿性関節炎などが並べて記載されています。
症候も、右下腹部痛(通常)と右下腹部痛+ショック、右下腹部痛+ショックなどに分けて記載があったり、低血糖を疑う症状がまとめてあったりします。なにかの症候を見たときには1回は開いて参照するのが良いのではないでしょうか。
目次を見るだけでも適切なSQ(Semantic Qualifier)の挙げ方の参考にもなると考えます。
私としては、328 驚きの”不明熱界隈”での「熱型をみましょう」といって熱を放置する医者、という記載はこころしておかないといけないと思いましたし、であったり、332 任天堂Wiiのプレイ後の上肢の筋肉や腱に関連した急性疼痛、Acute Wiitisなど興味深かったです。(NEJMにあります。)
第2章 病名
第2章では病名がまとめてあり、その病気と何らかの点で似る疾患が列挙されています。ある病気を想起した時に鑑別しなければならない疾患と言えますね。
たとえばリウマチ性多発筋痛症ならば亜急性細菌性心内膜炎や多発性骨髄腫、がん全身転移など見逃してはならないものが挙げられています。
膠原病では第1に菌血症と挙げられているものも多く、大事なポイントですね。
関節リウマチのところの那須・ハコラ病はほんとにいるのか?、とも思いましたが、そもそも全然知らなかったで自分なりに調べて勉強して、自分なりのリストに改変していこうと思います。
第3章 検査異常
第3章は検査異常で、検査で異常を見た時に鑑別に上げるべき疾患が列挙されています。
空洞性病変であったらサイズや多発か単発か、感染症かなどといったように分かれています。
自分の専門分野ではないところで見る検査異常はなんとなくスルーしてしまったりすることもあるのではないでしょうか。(低尿酸結晶などはスルーしてしまった記憶があります。)
出会った時に調べるのが大事ですが、このListがあれば便利ですね。
第4章 薬剤性
第4章は薬剤性です。それぞれの薬剤の副作用で出る症状であったり、ある症候の原因となる薬剤が列挙されています。
例えば、サラゾスルファピリジンでは薬疹や肝機能障害などに加えて錠剤が大きい事による服薬中断も記載されています。大きくて飲みにくいと言われることも多い薬剤であり、見逃されがちでもあります。これは添付文書見てもわからないですし、こういったリストの上げ方もあるのかと思いました。
いままで薬剤でまとめてあるリストを見たことはなくて、非常に便利だと感じました。自分の専門での薬をこのリストに加えて改変していくことで、より使えるリストになりそうです。
終わりに
以上のような様々なリストの記載がある本となります。國松先生の頭の中を覗いている感じもあります。
このリスト自体でも十分使いやすいのですが、やはり人それぞれ使いやすいリストは異なると思いますので、参考にして自分のリストを作り上げることが必要な本だと思いました。
この本に直接書き込むのももちろん良いですし、参考にしてマインドマップを作るのが便利なのではないかと考えています。
本自体の見た目もDearh Noteのような見た目でかっこいいです。
今後の改訂も楽しみな本です、ぜひリストを作って投稿してみたいと思います。
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